2021.11.16 外国人採用ノウハウ特定技能
スマート農業ってなに?導入事例と懸念点を解説!
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「最近よく聞くスマート農業って何?」
「スマート農業の導入事例はどんな感じ?」
「スマート農業にも懸念点やデメリットはあるの?」
近年、人手不足に伴って農林水産省にも導入が推奨されているスマート農業。農業と関わりがない方にとっては聞きなれない言葉ではないでしょうか。
スマート農業とは、ロボットや情報通信技術を農業に活用した新たな農業です。そんなスマート農業について、その目的やスマート農業に対する懸念点、実際の導入事例について詳しく知りたいという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、人材不足に悩む農業関係者向けに、「スマート農業とは何か?」を解説します。
この記事を読むと、スマート農業の基礎知識や導入事例、懸念点までわかるよう構成しました。
- スマート農業とは何か?
- スマート農業でできること
- スマート農業の導入事例
- スマート農業の4つのメリット
- スマート農業の懸念点
スマート農業とは?その目的と推奨する狙い
近年、日本の農業の課題を解決できると期待が高まっているスマート農業。
ここでは、スマート農業とは何か?その目的と農林水産省が推奨する理由について解説します。
スマート農業とは?
スマート農業とは、ロボット技術や情報通信技術(ICT)、モノのインターネット(IOT)、人口知能(AI)などの技術を駆使して生産物の品質向上や、省力化を図る新しい農業です。
近年、日本の農業では、農業従事者の高齢化や若者離れ、後継者不足によって慢性的な人手不足が続いています。さらに農業では、依然として人手が必要になる作業や熟練の技術が必要になる作業が多く、人手不足の解消、農作業の省力化が大きな課題となっています。
そんな農業の課題を解決できるとして期待が高まっているのがスマート農業です。
スマート農業では何ができる?
スマート農業では、ロボット技術やICT、IOT、AIなどの技術を活用することによって、以下の2つの効果が期待されます。
- 農業の省力化による負担の軽減
- 新規就労者への栽培技術の継承
元々農業は、朝早くから外で行う体力仕事であることから、3K「きつい・汚い・危険」といわれている仕事です。さらに慢性的な人手不足によって、一人一人の負担が大きくなっていました。
そんな課題をスマート農業では、日本の最先端技術であるロボット技術やICTなどを農業に取り入れることで、耕起から種まき、収穫まで今まで人の手で行っていた作業をロボットが代わって行うことで省力化し、農業従事者の負担を軽減することができます。
また、新規就労者への栽培技術の継承を行うこともできます。
新規就労者にとって栽培技術を習得するには、長い期間が必要になるため、大きなハードルでした。
しかし、スマート農業では、熟練の技術を持つ農業従事者の判断などをデータ化し蓄積していくことで、新規就労者でも短期間で技術を習得することができるのです。
結果、新規就労者の確保が可能になり、後継者不足の解消にも繋がるというメリットがあります。
農林水産省もスマート農業を推奨
現在では、農林水産省もスマート農業を推奨しています。
その理由として、日本の農業自給率の低さが挙げられます。
農林水産省によると、2020年の日本のカロリーベース食料自給率は約37%と低く、日本人が食べている食料の6割以上が輸入に頼っている状況です。
輸入品に頼ってしまっている状況で、仮に不作によって輸入量が少なくなる、又は輸入できなくなってしまった場合、日本では輸入食材の価格が高騰したり、飢餓が起こってしまう可能性が考えられます。
そのため、輸入食材に頼っているいうことは、非常にリスクが高く、食料自給率を上げるためにもスマート農業を進めていく必要があるのです。
農林水産省では、スマート農業加速化実証プロジェクトを推進しています。
スマート農業加速化実証プロジェクトとは、2019年からスタートした、スマート農業を実証し全国の農業で導入を加速させていく事業です。
実際にスマート農業を現場に導入し、技術実証を行うことでどれほど経営への効果をもたらすのかを明らかにすることを目的とし、これまで182地区において実証を行っています。
参照:日本の食料自給率
スマート農業の導入事例
農業では、主に「耕地・整地」「移植・播種」「栽培管理」「収穫・選別」という業務が大まかな流れです。
ここでは、スマート農業の導入事例を各工程ごとに紹介します。
無人トラクター、コンバイン、田植え機(耕起・整地)
農業用無人トラクター・コンバイン・田植え機は、未熟者・習熟者に限らず、誰でも同じ精度と速度で作業が行うことができます。
広範囲を自動走行で行うため、人員の大幅な省力化・負担の軽減を行い、業務の改善や効率化を期待することができます。
従来のトラクターでは、移動する際に移動基地を設置する櫃威容がありましたが、大手農業機器メーカー「クボタ」が販売する「アグリロボトラクタMR1000A」では、移動基地が設ける必要なく自動運転を行うことができます。
また、コンバインによる脱穀や田植え機もどんどん自動化が進んでいます。
トラクターやコンバイン、田植え機が自動化されることで、農業にかかるほとんどの業務を改善・効率化することができます。
しかし、これらの農業機器は、1個あたり1,000万円は必要になるため、助成金等の活用を視野に入れておきましょう。
農業用ドローン(移植・播種)
動画の撮影や物資の輸送など、さまざまなシーンで使用されているドローンは農業でも活躍しています。
農業用ドローンは、主に農薬や肥料などの散布や播種(種まき)を行い、山間地域などで通常より作業がしにくい場所であっても、短時間で正確に業務を行うことができます。
農業用ドローンは、移植・播種以外にも、手作業で行っていた受粉や収穫したものを運搬することにも使われ、農業の省力化に大きく貢献しています。
また、現在では、高度なカメラ機能によって今まで人の目では見えなかった病気や害虫を撮影できるようになりました。
小さな病気の変化や害虫の付着状況を把握できるようになり、散布する肥料や農薬の種類や量を調整することにも役立っています。
栽培管理支援システム(栽培管理)
栽培管理支援システムとは、気象データとICTを活用した栽培管理を支援するシステムです。
生育予測モデル・病害予測モデルと気象データから、「次にどのような危害が発生するのか」を常時観察・予測し、起こりうる問題が見つかれば農業生産者に警告してくれます。
それに加えて、栽培管理に役立つ支援情報の作成・配信も行っており、警告とその支援応報をもとに、次にどのような対策を取るべきかを判断する手助けを行います。
自動草刈機(栽培管理)
自動草刈機は、ルンバのような形をした自動で草刈りを行う草刈機です。
今まで田んぼや畑の草刈りはほとんど手作業で行っていましたが、自動草刈り機を使用することで省力化に大きく貢献します。
ルンバ同様、畑などに柵があればそれに合わせて方向転換を行い、自律走行にて草刈り実施します。充電がなくなりそうになると、自律的に充電ステーションに戻り充電を開始します。
製品によって距離は異なりますが、安全性の確保や盗難防止の為、一般的に充電ステーションから100m以上離れると、充電ステーションからの発信を受信できなくなり、自動的に駆動を停止します。
リモートセンシング技術(栽培管理)
リモートセンシング技術は、園場にセンサーを設置して温度・湿度・証明などのデータを遠隔でチェック・操作できる技術です。
リモートセンシング技術はドローンの遠隔操作等にも活用されている技術で、わざわざ農園場に出向いて温度などの調整やチェックをする必要がないため、大きく省力化に貢献しています。
また、リモートセンシング技術は取得したデータをAIに取り込み、そのデータから分析して収穫量を予測するなど、今後もさらなる活用ができると期待が高まっています。
自動収穫機・選別機(収穫)
主に農作物の収穫を自動的に行う役割を担っているのが自動収穫機です。
元々、農家の中では農作物の収穫を自動化したいという声が多くありました。その願いを叶えたのが自動収穫機です。
自動収穫機には、大きく分けてドローンを活用したドローン式と、吊り下げ式の2通りがあります。
現在では、いちごに1度も触れずに収穫するいちごの自動収穫機や、腰を低くして収穫する必要があったアスパラガスの自動収穫機まで開発され、農家の負担を大きく減らすことに大きく貢献しています。
スタート農業の4つのメリット
スマート農業は、省力化によって農家の負担を軽減でき、後継者不足や若者離れなどの解消に期待できる農業です。
ここでは、そんなスマート農業の4つのメリットについて解説します。
業務の見える化
スマート農業を導入することのメリットの1つは、業務の見える化ができることです。
業務を見える化することによって、栽培管理データはもちろん、「いつ、誰が、何を、どれくらい」作業を行なったのかを記録、管理することで、起こりうる人的危害を予測したり、従業員の教育、品質向上にも繋がることができます。
また、業務を見える化することで後述する業務の見直しや改善を日々行うことも可能です。
農作業の省力化・負担軽減
前述した通り、スマート農業では、農作業の省力化をすることで農家の負担を大きく軽減できるということが大きなメリットです。
手作業では、長い時間や期間が必要であった作業や費やしていた体力を、重労働をロボットが自動的に行なうため、省力化に貢献します。
農家の高齢化が続いていく中で、スマート農業は今や必要不可欠の手段といえます。
また、「農業は大変」というイメージを抱いていた若者が農業に興味を持つきっかけにもなっています。
栽培技術の継承
スマート農業では、栽培技術の継承を短期間で行えることも大きなメリットです。
新規就労者にとって、栽培技術の習得は大きなハードルです。長年の勘による判断や熟練の技術は、習得するのに多大な時間を要します。
また、後継者不足によって今まで先人たちが培ってきた技術が継承されず、失われていくのではないかという点も課題の一つでした。
しかし、スマート農業を導入することで熟練の技術をデータとして蓄積し、そのデータをもとに業務を自動化することが可能となり、短期間でスムーズに栽培技術の継承を行うことができます。
業務の効率化・業務改善
業務の効率化が図れることもスマート農業を導入することもメリットの一つです。
手作業で一つ一つ作業していたものが、無人のトラクターや田植え機などを使用することで、大きな範囲を短時間で終わらせることができます。
また、スマート農業によって、前述した業務の見える化ができることで業務の改善や見直しを行うこともできます。
スマート農業にはどんな懸念点がある?
スマート農業の一番の懸念点は、導入費用です。
農場の規模や栽培している農作物によって導入する機械やシステムは異なりますが、自動トラクターやコンバインなど、モノによっては1台1,000万円程度の費用が掛かってしまうこともあります。
もちろん、長期的にみると生産性の向上によって利益率がアップするなど、メリットの方が大きいですが、その費用をどこから調達するのかが今後の課題の一つとなっています。
現在では、国や地方自治体によるスマート農業導入に対する助成金制度があります。
スマート農業の導入を考えていて、初期費用にお悩みの方は、ぜひ助成金制度を活用してみてください。
まとめ
少子高齢化や若者離れによって慢性的な人手不足が続いている農業において、スマート農業は解決策の1つとして期待が高まっています。
人手不足はもちろん、作業の負担や業務の効率化、後継者不足の解消など、多くのメリットがあるスマート農業は、食料自給率向上のための事業としても推奨されており、今後ますます多くの農家や企業で導入が進んでいくと考えられます。
しかし、導入費用が高額であることから、どこから費用を調達するかということも懸念点として残っています。
スマート農業は金銭面や規模からもすぐに対応が難しく、早急に人手がいる方は外国人雇用という手もあります。
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参考URL:https://agrist.com/archives/1830
https://agri.mynavi.jp/2020_05_12_118244/
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/17009/02.html