2021.10.29 外国人採用ノウハウ特定技能
外国人雇用、特定技能に纏わる基礎知識
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外国人雇用が浸透しつある昨今。2019年4月には、新しく特定技能の受け入れ制度が追加され、どのような外国人を雇用するかの選択肢が増えつつあります。
そんな中で、新しく外国人雇用をはじめようと検討されている企業の経営者や人事担当者の中には、
「外国人を雇用する上で押さえておくべき知識は?」
「外国人雇用の基礎的な知識が知りたい」
と、お考えの方もいるのではないでしょうか?
この記事では、これから外国人雇用を考えている企業の経営者・人事担当の方へ向けて、外国人雇用・特定技能に纏わる基礎知識を紹介します。
- 雇用できる外国人労働者についての基礎知識
- 外国人雇用をする際の留意点
- 特定技能に纏わる基礎知識
- 不法就労について
- 外国人雇用に関する問い合わせ先・相談窓口
それでは、外国人雇用、特定技能に纏わる基礎知識についてみていきましょう。
雇用できる外国人労働者についての基礎知識
外国人労働者は、保持する在留資格によって雇用の可否や雇用条件が定められています。
すべての外国人を雇用できるわけではありませんのでご注意下さい。
ここでは、雇用できる外国人の基礎知識について解説します。
在留資格とは
外国人が日本で働くには在留資格が必要です。
在留資格は、入管法によって、日本に入国・在留して従事することができる社会活動や、在留することができる身分や地位を分類して定めらており、在留資格のいずれかに該当しない場合は、日本へ入国・在留することができません。
また、在留資格には、在留期間が設けられており、期間外に活動することはできません。
そのため外国人は、入国の際にパスポートに記載された在留資格と在留期限のみの活動が可能です。
それ以外の活動や期間を超えた活動は、不法滞在に該当してしまいます。
在留資格の種類について
現在、入管法で定められている在留資格は複数あり、その中でも、「就労が認められているもの」「就労が認められていないもの(就労について制限がある)」「就労活動に制限がないもの」「個々に許可内容によるもの」の大きく4つに分けられます。
- 就労が認められている・・・外交、公用、芸術、医療、研究、教育、興業、技能など
- 就労が認められていない(就労について制限がある)・・・文化活動、短期滞在、留学、就学、研修など
- 就労活動に制限がない・・・永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者など
- 個々の許可内容によるもの・・・特定活動
1の就労が認められている在留資格は、専門的な知識な技術が必要な分野のみ等、仕事内容に条件があるのが特徴です。
3の就労制限がない在留資格「永住者」や「日本人の配偶者等」などは就労制限がないため、仕事内容に条件なく日本人同様に就労が可能です。
資格外活動の許可
資格外活動許可とは、就労が認められていない留学生(在留資格「留学」)などが、本来の在留資格に基づく活動を阻害しない範囲内で在留資格以外の活動を行うときに必要な申請です。
例えば、留学生がアルバイトをしたい場合、資格外活動許可を取得することで、定められた条件の中でアルバイトをすることができます。
資格外活動許可は、地方入国管理局へ「資格外活動許可申請書」を提出することで取得が可能です。
外国人雇用をする際の留意点
ここでは、外国人雇用をする上での留意点について解説します。
就労の可否の確認
外国人雇用をする際、外国人が就労可能かどうかを書面で確認する必要があります。
確認をせずに採用し、その後外国人が「就労が許可されていない在留資格だった」「在留期限を過ぎていた」などと判明した場合、不法就労に該当してしまうため必ず確認するようにしましょう。
外国人雇用の際の書面確認では、パスポート、入国査証、外国人登録証明書、在留資格認定証明書、就労資格証明書、資格外活動許可書を確認します。
就労可否の確認事項は、以下の通りです。
- 入国要件の確認:有効なパスポート(旅券)を所持しているか。入国査証を受けているか。
- 在留資格の確認:就労可能な在留資格を取得しているか。在留資格が就労不可能の場合、資格外活動許可を取得しているか。
- 在留期限の確認:在留カードに記載されている在留期限を過ぎていないか。
また、前述した通り、留学生がアルバイトをする場合は資格外活動許可が必要です。
在留カードの裏面に資格外活動許可の記載があるかどうかの確認を行いましょう。
資格外活動許可を取得した場合、留学生は、「週28時間以内(長期休暇の場合は1日8時間以内)」という条件があるため、あらかじめ押さえておきましょう。
労働に関する法律の適用
合法的に就労が許可された外国人に対しては、日本の労働基準法をはじめ、最低賃金法や社会保険制度など、労働に関するほとんどの法律が適用されます。
日本において労働に関する法律は、国籍に関わらずすべての労働者が対象です。
そのため企業は、外国人労働者を日本人労働者と同等に扱う必要があります。
特に、以下の3点を行わないように留意しておきましょう。
- 外国人労働者に就業規則を適用させないこと
- 外国人労働者であることを理由に、賃金や給与形態、休日、労働時間などで差別的な扱いをすること
- 外国人労働者専用の就業規則を作成し、日本人と異なる規則を規定すること
その他の留意点
「就労の可否の確認」「労働に関する法律の適用」以外にも、留意すべき点はまだあります。以下は、その他の留意点についてまとめたものです。
- 合意した内容は、文書として残しておく
- 仕事とプライベートの区別をはっきりしておく
- 宗教や文化の違いを受入れ、理解する
- あいまいな支持はせず、具体的にはっきりと伝える
- 「イエス」「ノー」ははっきりさせる
特定技能に纏わる基礎知識
2019年4月に新設された特定技能受け入れ制度。ここでは、特定技能に纏わる基礎知識について解説します。
特定技能制度とは?
特定技能制度とは、少子高齢化によって人手不足が深刻化する日本において、作業効率化による生産性の向上を図ってもなお、人手不足が解消されないある一定の分野で、一定の専門性や技能を持った即戦力となる外国人の受け入れを行う制度です。
特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類の在留資格があり、「特定技能1号」は、特定産業分野における相当の知識や経験を必要とする業務を行い、「特定技能2号」は、特定産業分野における熟練した知識と経験、技術を要する業務を行う外国人の在留資格です。
特定技能について詳細が知りたい方は、特定技能についての詳細と取得方法についてまとめた記事もあるのでこちらを参考にしてみてください。
特定技能ビザとは?特定技能1号・2号の違いと取得方法
特定技能外国人の雇用の流れ
特定技能外国人を雇用するには、「日本国内にいる外国人を採用する場合」と「海外から外国人を呼び寄せる場合」によって雇用までの流れが異なります。
【日本国内にいる外国人を採用する場合】
- 外国人が試験に合格、又は技能実習2号を修了
- 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
- 支援計画の策定
- 地方出入国在留管理局で在留資格変更許可申請を行う
- 在留資格「特定技能1号」に変更完了
- 就労
【海外から外国人を呼び寄せる場合】
- 外国人が試験に合格、又は技能実習2号を修了
- 特定技能外国人と雇用契約を結ぶ
- 支援計画の策定
- 地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請を行う
- 在留資格認定証明書の受領
- 外国人の住んでいる国の日本大使館にビザ申請
- ビザ受領
- 入国後、就労
特定技能外国人のマッチングについて
特定技能では、技能実習のような送り出し機関や監理団体を設けていません。
そのため、特定技能外国人を受け入れるには、企業は直接採用活動を行うか、外国人人材紹介会社に紹介してもらうかのどちらかになります。
国内の特定技能外国人を採用する場合は、ハローワークでも採用することが可能です。
株式会社ケイエスケイでは、外国人紹介事業として、即戦力になる外国人労働者のご紹介や登録、手続きのサポートなど様々な支援を行っています。
外国人人材をお考えの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
外国人労働者紹介事業
特定技能外国人を雇用する際の留意点
特定技能外国人を雇用する場合、省令によって定められたある一定の条件を満たす必要があります。
その中でも特に重要な条件が、「受け入れ企業は特定技能外国人が日本で生活するために必要な各種支援を行う義務」です。
受け入れまでの支援はもちろん、受け入れた後も確実に企業の義務を履行する必要があります。
また、受け入れ企業や登録支援機関には、特定技能雇用に纏わる各種届出を行うことが義務化されています。
届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合、指導・罰則の対象になるため注意が必要です。
株式会社ケイエスケイでは、登録支援機関事業として幅広いサポートを行っていますので、お困りの際はどうぞご相談下さいませ、
登録支援機関事業
登録支援機関
受け入れ企業は、採用した特定技能外国人に対して支援を行いますが、その支援を登録支援機関に委託することができます。登録支援機関に委託した場合、受け入れ企業は、外国人に対してすべき支援業務を行う体制を整えたとみなされるため、受け入れ企業が支援を実施する必要はありません。
登録支援機関について詳しく知りたい方は、登録支援機関について詳しくまとめた記事があるのでそちらをぜひご覧ください。
「登録支援機関」とは?外国人採用では特定技能制度をうまく活用する!
不法就労についての基礎知識
現在では、多くの外国人が日本で就労しています。
そんな中で、不法就労が発覚され、やむなく強制送還されてしまうケースも少なくありません。
ここでは、不法就労に関する基礎知識について解説します。
不法就労に該当する活動
不法就労に該当する活動は主に以下の3点です。
- 不法に入国して就労すること
- 在留資格に記載されいている活動範囲を超えた活動を行うこと
- 在留期間を超えて活動すること
雇用者側の罰則
不法就労は、一見、不法に就労する外国人本人のみが罰則を受けると思われがちですが、実際は受け入れてしまった企業も罰則の対象になります。
不法就労をした外国人本人は、帰国費を負担し、本国へ強制退去させられます。さらに退去後、裁判にて有罪判決が下された場合、外国人本人に懲役や罰金が科せられます。
受入れ企業には、「不法就労助長罪」として、3年以下の懲役または200万円以下の罰金が科せられます。雇用した外国人が、不法就労者だと知らずに雇用した場合は、必ずしも罰則対象になるとは限りませんが、確認事項を怠ってしまったことが明らかな場合は、罰則の対象になるため、注意が必要です。
外国人雇用に関するお問い合わせ先・相談窓口
外国人雇用に関するお問い合わせ先・相談窓口は以下の通りです。
外国人の出入国要件や手続きなど | 法務省入国管理局、地方入国管理局 |
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外国人の労務や求人について | 都道府県労働基準局(外国人労働者相談コーナー) 公共職業安定所(外国人労働者専門官) |
また、株式会社ケイエスケイでも外国人雇用に関するご相談を承っています。
外国人人材派遣や登録支援機関として豊富な経験がありますので、外国人雇用について、何かお困り事等がありましたら、ご相談、ご質問も承っております。
【人材をお探しの企業様 お問い合わせ (平日 9:00〜18:00)】
- 東京:03-5962-8936
- 京都:075-555-3426
人材をお探しの企業様 お問い合わせ
まとめ
近年増え続ける外国人雇用と新設された特定技能制度の基礎知識、押さえておくべき留意点について解説しました。
外国人雇用といっても、さまざまな制度や規定、法律があり、それに反すると罰則も存在します。
今後、外国人雇用をお考えの方は、ぜひ今回の記事を参考に、外国人雇用を前向きに検討してみてください。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/content/930006033.pdf
https://www.seiei.or.jp/advice/koyou/03.html