2021.08.11 フィリピン人採用外国人採用ノウハウ
技能実習生の基礎知識と受け入れポイントを解説します
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近年、日本での技能実習制度が定着していく中で、さまざまな職種において技能実習生が増加しています。
外国人採用や技能実習生の受け入れを行っていない企業からすると、外国人労働者にネガティブなイメージを持っている方もまだ多いのではないかと思います。
そこでこの記事では、技能実習生についての基礎知識と受け入れのポイントを解説。技能実習制度や実際の採用までの流れも紹介します。
技能実習生について新たに知ることで、今後の採用においての選択肢が増えるかもしれませんね。
技能実習制度とは?
技能実習制度は、1993年から始まり、現在では多くの外国人が、技能実習生として日本に滞在しています。そんな技能実習制度についての概要と現在の受け入れ状況についてみていきましょう。
技能実習制度の概要
技能実習制度は、日本の技術や知識を発展途上国へ移転を図るため、発展途上国の経済成長を担う人材育成を目的とした制度です。受入企業と技能実習生の間には、送出機関・監理団体・外国人技能実習機構・地方出入国在留監理局が仲介し、それぞれが連携して技能実習生を受け入れます。
1993年時点では、時間の1/3を座学で学んでおり、働くことが禁止されていました。しかし、2009年に技能実習生にも労働基準法が適用されたことで、入国直後からの技能実習が可能になりました。これが現在の技能実習制度のベースとなっています。
技能実習生の受け入れ状況
厚生労働省の「外国人雇用状況」によると、2020年10月末時点の日本で働く外国人は172万を超え、そのうちの23.3%に当たる40万2356人が技能実習生です。前年と比較すると技能実習生は約2万人増加しており、2009年以降、年々増加し続けています。
技能実習生のおおよそ半数をベトナム人が占め、続いて中国、フィリピン、インドネシアと続きます。
また、職種別にみると、77職種ある中で食品製造関係が最も多く、次に機械金属関係、建築関係と続き、特に食品製造関係の受け入れ人数は、ここ5年間で大幅に増加しました。これは、少子高齢化や単身世帯の増加によって、家庭外で調理された食品を購入して家で食べる中食需要が高まっていることが背景にあります。
さらには、ベトナムなどの発展途上国では、スーパーやコンビニなどが増加する中で、食品を製造する工場が不足している現状があります。そのため、世界で高い水準にある日本の食品衛生管理や食品加工・製造技術の移転を図ろうという動きが強くなり、食品製造関係の技能実習生の受入人数が急増したのです。
技能実習生の基礎知識
技能実習生の受け入れをする上で、事前に知っておくべきポイントを解説します。
技能実習生の「受入方式」「在留資格・在留期間」「対象職種」「受入可能人数」の4つの項目についてみていきましょう。
技能実習生の受入方式
技能実習生の受入方式には「企業単独型」と「団体監理型」の2つ方法があります。
企業単独型:受け入れ企業が直接海外の支店や事業者、取引先などから技能実習生を受け入れる方法です。入出国時の手続きや、入国後の講習など、監理団体を通さない代わりに受入企業自らが実施しなければいけません。また、海外に支店や事業所等、一定の関係がある企業でないと企業単独型での技能実習生受け入れはできません。
団体監理型:営利を目的としない商工会議所や事業協同組合などの監理団体が技能実習生を受け入れ、監理団体の傘下にある企業が技能実習を行う方法です。監理団体は受入企業に代わって技能実習生受け入れの手続きや講習、面接などの企業のサポートを実施。受け入れ後は、企業が不正せず、適切な技能実習を行っているかどうか監査・訪問指導を行います。
令和元年6月時点では、企業単独型の受け入れが2.7%、団体監理型の受け入れは、97.3%と、ほとんどの受入企業が監理団体を通して技能実習生の受け入れを実施しています。
技能実習生の在留資格と在留期間
技能実習生の在留資格区分は、期間と受入方式によって6区分に分かれます。技能実習生の習熟度によって在留資格が1号から3号に変化し、最大で5年間の在留が可能です。
企業単独型 | 団体監理型 | |
---|---|---|
1〜2年目 | 技能実習第1号イ | 技能実習第1号ロ |
2〜3年目 | 技能実習第2号イ | 技能実習第2号ロ |
3〜5年目 | 技能実習第3号イ | 技能実習第3号ロ |
在留資格「技能実習第3号」は、技能実習第2号修了後に、決められた条件をクリアすることで、より高い技術の習得を目指して移行することができます。なお、技能実習第3号外国人の実習を行うには、受入機関や監理団体も優良な実習実施者である必要があります。
技能実習生の受入可能人数
技能実習生の受入可能人数は、企業の職員数に応じて上限が変化します。
常勤職員数別の技能実習生受入可能人数は以下の通りです。
受入企業の常勤職員の総数 | 技能実習生の受入上限 |
---|---|
301人~ | 受入企業の常勤職員の総数の5% |
201~300人 | 15人 |
101~200人 | 10人 |
51~100人 | 6人 |
41~50人 | 5人 |
31~40人 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
※常勤職員の総数に技能実習生は含みません。
ただし、企業単独型の場合は、上記の表と異なり、常勤職員の増減にかからわず、常勤職員の5%が上限です。
また、企業単独型、団体監理型共に、下記の受入人数を超えてはいけません。
- 第1号技能実習生:常勤職員の総数
- 第2号技能実習生:常勤職員の総数の2倍
- 第3号技能実習生:常勤職員の総数の3倍
技能実習生の対象職種
技能実習生の対象職種は、在留資格によって異なります。
技能実習第1号2号の場合、85職種156作業、技能実習3号の場合は、77職種135作業が対象です。
詳細は『外国人技能実習機構の移行対象職種情報』をご覧ください。
技能実習生を受け入れるまでの流れ
技能実習生受け入れまでの大まかな流れは以下の通りです。
参照:https://global-hr.lift-group.co.jp/39#技能実習生を雇用するまでの流れ
①組合入会
監理団体のスタッフが訪問し、企業が実習生を受け入れ可能かの審査を行います。
ヒアリング事項としては、
- 職種の適合性
- 企業の受け入れ体制
・賃金や寮の確保や福利厚生
・受け入れ経験
・技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員の確保 - 受け入れ計画
- 企業の決算報告
②実習生募集・現地面接
送出機関にて技能実習生候補者の募集を行い、現地で面接を実施します。受入企業の経営者や技能実習責任者と共に監理団体の担当者も同行。
職種によっては、実技試験も行います。
③人選確定
④ビザ申請
各種書類の手続きを行います。団体監理型の場合、ビザ申請などの書類手続きは監理団体が実施します。
- 外国人技能実習機構へ技能実習計画認定申請
- 地方出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請
- ビザ(査証)申請
⑤ビザ発給・入国
ビザ申請などの各種手続きが終わり、ビザが交付されたら、日本に入国が可能です。
空港でのお出迎え、教育センターまでの送迎は、監理団体が行います。
⑥講習
入国後は、1ヶ月程度かけて講習を行います。
日本語や日本の文化、風習、法律、道徳など、日本で生活する上で必要な基本的な事を学びます。
⑦企業配属・技能実習開始
1ヶ月間の講習が修了した後、受入企業に配属され、技能実習を開始します。配属時には、監理団体の担当者が同行し、銀行口座の開設や転入手続きなども実施。その後は、監理団体による定期的な訪問、労働安全衛生についてや専門用語の勉強会を母国語の通訳を交えて実施します。
技能実習生の受け入れポイント
より有意義に技能実習制度を活用するために、技能実習生受け入れのポイントとして重要な項目について解説します。
信頼できるパートナー機関を探す
信頼できるパートナー選びは、技能実習生を受け入れるために重要なポイントです。
技能実習生を受け入れに最初に行うのが監理団体探しです。技能実習制度1993年と非常に前から施行されているため、これまでに多くの技能実習生の受け入れを実施してきたという大きな監理団体もある中で、過去に不正をして重い処分を受けてしまったという監理団体も少なくありません。
また、送出機関の中には、儲けを優先したブローカーを利用したり、裏でキックバックや賄賂をもらうなど悪質な業者も多く存在します。
むやみに監理団体や送出機関を選ぶのではなく、じっくりと調査し、各機関としっかりとコミュニケーションをとって、信頼のおけるパートナー機関を選ぶようにしましょう。
優良な実習実施者に認定されると
「優良な実習実施者」に認定されると、技能実習第3号外国人の受け入れが可能になります。
優良な実習実施者とは、2017年11月に施行され、監理団体・受入企業がある一定の条件を満たすことで認定。優良な実習実施者に認定されることで、大きく2つのメリットがあります。
- 最長で5年の技能実習期間拡大が可能
- 受入可能人数の上限の拡大
優良な実習実施者に認定されると、最長で5年間の技能実習を行うことができます。もちろん受入企業や監理団体だけでなく、実習生自身も技能実習第3号に移行するために技能検定3級等(技能実習評価試験専門級)の実技試験に合格すことが条件です。
また、優良な実習実施者には、受入可能数の上限を拡大することもできます。
第1号技能実習生は、基本人数枠の2倍、第2号は4倍、第3号は6倍と、通常の実習実施者に比べるとより多くの技能実習生の受け入れが可能です。
まとめ
現在では、日本企業に定着しつつある技能実習制度。今後も少子高齢化によってますます技能実習生の数が増えていくと予想されます。
そんな技能実習生は、企業単独型と団体監理型の2つの方法で受け入れが行われ、それぞれ在留資格と受入人数が異なります。2017年には新しく技能実習第3号の在留資格もでき、開発途上国への技能の移転がより一層強まっています。
人手不足、海外進出などによって、今までは外国人採用に目を向けていなかった経営者や人事担当者の中にも、今後外国人採用を検討しようという人もいると思います。今後、海外進出や、外国人人材採用を検討している方は是非技能実習制度を活用してみてはいかがでしょうか。
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参考:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11800000-Shokugyounouryokukaihatsukyoku/0000201289.pdf
https://willof-work.co.jp/journal/3176/
https://www.orj.co.jp/ginojisshu/ginojisshu_seido/