2021.07.12 フィリピンのライフスタイル
外国人介護士の受け入れ制度と注意点【2021年度版】
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少子高齢化問題で日本の介護業界の人手不足が急速に進んでいる中、2019年4月に4つ目の受け入れ制度である特定技能がスタートしました。
これにより、外国人介護士の受け入れが増加しています。
しかし、外国人介護士を受け入れる際にいくつかの注意点が挙げられてます。
外国人介護士の受け入れを検討している方の中にも、「日本語は話せるの?」「きちんと介護できるの?」など、不安に思う方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、外国人介護士の4つの受け入れ制度や、それに伴う注意点について詳しく解説します。
この記事を読むことで、どの受け入れ制度が各介護施設に適しているのかが分かります。
介護業界の人手不足と外国人介護士の現状
現在の日本では、介護業界に限らず、多くの業界で少子高齢化による人手不足が深刻化しています。
その中でも3K(きつい・汚い・危険)とされる介護業界では、要介護者の増加と離職による人手不足が加速しています。
介護業界の離職率が高い背景には、3K以外でも不規則な業務と低い給与水準が挙げられます。
さらには、後期高齢者が急増する「2025年問題」にも直面しており、介護業界の働く環境改善と外国人介護士の採用が急がれます。
2025年問題に直面する日本の介護業界
2025年問題とは、現在約800万人いる団塊世代が75歳以上の後期高齢者になることで、後期高齢者の数が約1500万人から2300万人にも拡大する超高齢化社会のことをいいます。
高齢者が増えることで要介護者が増加し、介護士や老人ホームなどの介護施設も、より一層必要になってきます。
厚労省によると、このままでは2025年には35万人、2035年には79万人もの介護士が不足するといわれています。
外国人介護士の現状
現在、EPA(経済連携協定)によると、外国人介護福祉士の数は2017年までで約3,500人と、年々増加していますが、受け入れに必要な条件のハードルが高いことや、国家資格「介護福祉士」の合格率が約50%と低いことで、受け入れ人数が思うより伸びていないのが現状です。
また、2019年4月には人手不足解消を目的とした「特定技能」制度が施行されましたが、介護業界の受け入れ人数は、2020年9月時点で343人となっており、向こう5年間の受け入れ人数は6万人と、全然足りない状態です。
外国人介護士によって日本の人手不足が解消されることへの期待には、まだまだ応えられていません。
外国人介護士受け入れによる問題点
外国人介護士の受け入れが必要とされる中、外国人介護士を受け入れる際に「日本語能力」「外国人介護士に抵抗を感じる日本人」「仕事の定着率」「ホスピタリティ」の4つが問題視されています。それぞれについて詳しくみていきましょう。
外国人介護士の日本語能力
外国人介護士の受け入れ時に一番の問題となるのが外国人介護士の日本語能力です。
在留資格「介護」を除いた特定技能・技能実習・EPAでは、受け入れに必要な日本語力がN1〜N5中、N4~5級と比較的低く、外国人自体の日本語能力が低くても就労できるこで、実際の業務や要介護者とのコミュニケーションに影響が出ています。
また、業務上の問題に限らず、日本語力が不足することで周りと上手くコミュニケーションが取れず、帰国する外国人介護士も後を絶ちません。
EPA介護福祉士候補生は、定められた年数以内に国家資格である介護福祉士の試験に合格しなければ、国に強制送還されてしまいます。
試験は日本人と同じ様に日本語表記で行われ、日本人でも合格率が約60%と、そう簡単に受かる内容ではありません。
そのため、介護福祉士候補生には、日本語能力が足りないことで試験に合格できず、帰国することを余儀なくされるケースも少なくありません。
日本語能力が足りないことでコミュニケーション不足によるストレスや、国家試験の不合格により帰国してしまうことが、外国人介護士を受け入れる上での大きな問題となっています。
外国人介護士に抵抗を感じる日本人
要介護者やその家族の中には、外国人介護士による介護に抵抗を感じるという方も少なくありません。外国人に対する偏見や、コミュニケーションが思うように取れないことによって、トラブルに繋がることもあります。
また、介護を受ける側だけでなく、同じ現場で働く介護職員にも、外国人介護士と働くことに抵抗を感じる人もいます。
「株式会社博報堂の生活定点調査」によると「外国人と働くことに抵抗はない」と答えた日本人は、62.8%と1992年から増加傾向にありますが、まだまだ100%に満たないのが現状です。
外国人介護士の受け入れには、外国人介護士本人の問題に限らず、受け入れ側である日本人にも改善すべき点があるのです。
仕事の定着率(帰国の可能性)
「外国人介護士の日本語能力」で前述した通り、国家資格に落ちたことで強制送還されるEPA介護福祉士候補生やコミュニケーションによるストレスで離職してしまう外国人介護士が多いのが現状です。
また、日本の企業が世界に進出していく中で、日本語を話せる外国人人材の需要が高まっています。
日本で介護士として働くことよりも、自国で働きたいという外国人介護士も中にはいるため、日本での介護士の定着率を下げる原因にもなっています。
ホスピタリティへの不安
要介護者やその家族、雇用側のほとんどが、外国人介護士が日本人介護職員と同様の対応ができるのか、ホスピタリティ面に対して不安視しています。
しかし、実際に外国人介護士を雇用した介護施設の人たちからは、「日本人では気が付かないような細かい部分にも気付いてくれた」という声もあり、外国人介護士の雇用に満足している介護施設が多いのも事実です。
在留資格「介護」では、要介護者の自宅を訪問しての家事援助・生活援助サービスも行うことができます。
外国人介護士の受け入れをしている施設側の教育・研修によって、ホスピタリティの強化や重要性への理解を図り、介護施設での介護や訪問介護を通して、要介護者やその家族が抱く不安を払拭することが、今後の問題解決につながります。
外国人介護士の4つの受け入れ制度と注意点
2019年4月に外国人介護士受け入れ制度「特定技能」が施行され、外国人介護士を受け入れるには4つの制度を利用できるようになりました。それぞれの制度について解説と注意点をご紹介します。
特定技能
2019年4月に、日本の人手不足の解消を目的に施行された制度です。
特定技能は、即戦力となるように介護についての知識とN4級以上の日本語能力を身に付けることが合格基準となっており、予め特定技能の試験に合格してもらうことで、外国人介護士受け入れの最大の問題点である日本語能力不足はある程度解消できます。
幅広い業務への従事や長期的な人材確保ができ、人手不足が深刻な介護施設にとってメリットの多い制度です。
「特定技能 介護」についてもっと詳しく知りたい方はこちら
【注意点】
- 訪問介護サービスに従事できない
- 転職の可能性がある
- 登録支援機関への費用が発生する
EPA(経済連携協定)
EPA(経済連携協定)は、投資や貿易など国同士の経済活動を促進するために始まった制度です。その一環として、介護分野では、介護福祉士の取得を目的として介護福祉士候補生の受け入れが可能になり、スタートした2008年から2017年までで受け入れた累計が約3500人を超えています。
EPA介護福祉士候補生は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国に限定され、国家資格「介護福祉士」の取得を目指します。
3か国それぞれによってコース内容・在留期間が異なり、介護福祉士候補生は、既定の期間内に国家資格に合格しなければ帰国しなければいけません。
国家資格合格後は、在留資格「EPA特定活動」から、「介護」に更新され、日本の介護施設にて就労することができます。
【注意点】
- 国家資格に合格しなければ帰国しなければいけない
- 訪問介護サービスに従事できない
- 入国のハードルの高さから人材の確保が難しい
在留資格「介護」
在留資格「介護」は、日本の介護養成学校を卒業し、介護福祉士の資格を持った外国人介護士が持つ在留資格です。原則、何度でも更新することができ、長期的な人材の確保ができます。
登録支援機関などの管理団体が必要でないため費用が発生しないことと、業務に制限がないことが大きなメリットで、日本語能力もN2級以上でコミュニケーションによるトラブルの心配も少ないです。
【注意点】
- 転職の可能性がある
- 母数が少なく、監理団体を介さないため、募集活動を自社で行う必要がある
技能実習「介護」
技能実習「介護」は、発展途上国の経済発展を担う人材育成と、日本で培われた技術の移転を目的とした制度です。
1年目「技能実習1号」、2~3年目「技能実習2号」、3~5年目「技能実習3号」とされ、最大で5年間の在留期間が設けられています。
就労を目的とした他3つの在留資格と異なり、技術研修が目的であるため、介護業界における人手不足の解消には至りません。
しかし、最大5年の技能実習を終えたのち「特定技能1号」への移転が可能です。そのため、積極的に技能実習生の受け入れを行っている介護施設も少なくありません。
【注意点】
- 日本語能力や介護に対する知識・経験がほとんどなく、一から育てる必要がある
- 低賃金・過酷な労働で疾走する事件が増加している
- 指導員が常に必要である
- 訪問介護サービスに従事できない
まとめ
人手不足に伴い、外国人介護士の受け入れが加速するとともに、「日本語能力」「外国人介護士に対する日本人の抵抗」「仕事の定着率」「ホスピタリティの不安視」が問題になっています。
今後さらに加速する介護業界の人手不足を解消するには、外国人介護士に限らず、受け入れる介護施設や介護職員も問題に対して真摯に向き合い、共に解決を目指すことが重要です。
外国人介護士の4つの受け入れ制度を活用して、人手不足を解消し、お互いにとって働きやすい環境を目指しましょう。
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参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000489026.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/kekka_gaiyo-01.pdf
https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/646.html
https://www.hni.co.jp/1019/
https://www.tatsufuto.co.jp/blog/kaigo/blog-330.html