2021.06.09 外国人採用ノウハウ特定技能
全くの別物!「特定技能」と「技能実習」の違いを分かりやすく解説!
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従来の「技能実習」という制度に加え、近年では「特定技能」という制度が新しく追加されました。
外国人採用を考えている採用担当者の中には、「特定技能と技能実習ってどう違うの?」「どの在留資格を採用したらいいか分からない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、「特定技能制度」と「技能実習制度」の基礎的な部分を把握しておきたい方に向けて各制度の違いとそれぞれのメリットデメリットについて詳しく解説します。
在留資格「特定技能」について詳しく知りたい方は、「特定技能ビザとは?特定技能1号・2号の違いと取得方法」をご覧ください。
「特定技能」と「技能実習」の違い
外国人に対する在留資格である「特定技能」と「技能実習」ですが、内容は全くの別物です。
それぞれの違いについて詳しくみていきましょう。
技能実習 | 特定技能 | |
---|---|---|
目的 | 国際貢献、技能移転 | 日本における人手不足解消 |
在留期間 | 技能実習1号:1年以内 技能実習2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 通算5年 |
特定技能1号:最大5年 特定技能2号:無制限 |
対象職種 | 85職種156作業 | 14業種(2号は2業種) ①介護 ②ビルクリーニング ③素形材産業 ④産業機械製造業 ⑤電気・電子情報関連産業 ⑥建設業 ⑦造船・舶用工業 ⑧自動車整備業 ⑨航空業 ⑩宿泊業 ⑪農業 ⑫漁業 ⑬飲食料製造業 ⑭外食業 |
入国試験 | なし(介護のみN4レベルの日本語能力要件あり) | 技能水準・日本語能力水準の試験等の実施(技能実習2号を良好に修了した者は試験等を免除) |
技能水準 | なし | 特定技能1号:相当程度の知識又は経験 特定技能2号:熟練した技能 |
活動内容 | 技能実習1号:技能実習計画に基づいた講習を受講し、技能などにかかる業務に従事する活動 技能実習2号3号:技能実習計画に基づいた技能などにかかる業務に従事する活動 |
相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動(専門的・技術的分野) |
受け入れ人数 | 常駐職員の人数に応じた制限あり | 無制限(看護・建設を除く) |
受け入れ対象 | 未経験・見習い等 | 即戦力・技能実習2号修了レベル(技能検定3級・日本語能力N4レベル) |
送出機関 | あり | なし |
監理団体 | あり | なし(登録支援機関の設立) |
転職の可否 | 不可 | 可 |
家族滞在の可否 | 不可 | 特定技能2号のみ可 |
技能実習と特定技能では目的・役割が異なる
技能実習と特定技能の大きな違いはそれぞれの制度の目的です。
従来からある「外国人技能実習制度」の目的は、日本で開発・培われた技術や知識を発展途上国への移転を図り、その国の経済成長を担う人づくりに協力すること。国際貢献のための制度です。
一方、2019年4月に新しく導入された「特定技能制度」は、日本の中・小規模事業者をはじめとする企業の人材不足を補うことが目的であり、生産性の向上や国際人材の確保、その分野において知識・経験がある即戦力となる人材を確保します。
つまり、技能実習は、国際貢献のための制度であり、特定技能は、自国の問題解決のための制度なのです。
就労可能な業種
特定技能と技能実習では、各制度の目的により就労可能な業種が異なります。
2021年5月時点での特定技能における就労可能な業種は、全部で14業種です。
技能実習では85職種156作業あります。
特定技能は、日本の人材不足を補うための制度であるため、人材不足が深刻化し、外国人労働力の供給が急がれる業種に限られています。
一方で、日本の技術を母国へ持ち帰るための技能実習では、より多くの技術を移転させるために、様々な分野での就労が可能です。
各制度の目的や役割によって就労可能な業種が異なるため、どの制度が自社の業種に該当するかあらかじめ把握しておくといいでしょう。
技能実習で就労可能な業種はこちら
特定技能における就労可能な業種はこちら
在留期間
「特定技能」と「技能実習」では、在留期間も異なります。
技能実習生は、更新をすることで最大5年間日本に滞在することができます。技能実習には在留資格が3種類あり、1年目が「技能実習1号」、2~3年目が「技能実習2号」、4~5年目が「技能実習3号」と滞在期間によって変化し、通算5年間の滞在ができます。
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類の在留資格があり、特定技能1号では最長5年、2号は更新し続けることで制限なく就労可能。条件を満たせば永住権の取得も可能です。
国際貢献である技能実習には通算5年の在留期限が設けられているのに対し、特定技能は、1号は最大5年、2号は無制限と、人手不足を補うために長期間にわたって滞在することができます。
転職の可否
技能実習では、原則として転職が認められていません。受け入れ企業が倒産した場合や、技能実習2号から3号に切り替わるタイミングでの転職は可能です。
仮に、技能実習生が実習先を変更する場合、管理団体・実習先企業の許可を得たうえで、技能実習実施困難届出書や技能実習計画の変更認可など、様々な手続きを行い、実習先を変更します。そのため、技能実習生本人の意思での実習先変更は難しいと言えます。
一方で特定技能は、転職が可能です。前職と同じ業種であれば、そのまま転職することができますが、違う業種に転職する場合は、在留資格の変更を行うことで制限なく転職することができます。
技能実習では転職が認められていないのに対し、特定技能では、日本人同様、外国人の意思により制限なく転職することができます。
業務内容の違い
技能実習と特定技能では、従事する業務内容も異なります。
技能実習では、「知識や技術の移転」が目的であるため、専門的で高度な技術へ従事することが基本です。
一方で特定技能では、「日本の人材不足を補う」が目的であるため、単純作業にも従事することができます。
もちろん、単純作業だけに従事させるのではなく、「付随した業務」としての単純作業であり、日本人と同様に扱う必要があります
受け入れに関わる機関の数
技能実習と特定技能では、受け入れ前、受け入れ後に関わる機関の数が異なります。
技能実習では、「送出機関」「監理団体」「技能実習機構」と3つ機関との手続きを踏み受け入れます。受け入れ後も、定期的な監理団体との面談など、受け入れ企業と技能実習生との間に入る機関が多いのが特徴です。
一方で特定技能は、基本的に受け入れ企業と外国人労働者本人のみです。しかし、特定技能外国人を受け入れるために企業に義務付けられている支援がいくつかあり、その支援を登録支援機関へ依頼する場合もあります。
登録支援機関についてはの詳細はこちら
家族滞在の可否
「家族滞在」とは、日本で就労ビザを所有している外国人の「配偶者(妻又は夫)と子ども(=家族)」が日本で滞在することができる在留資格です。
家族滞在が認められている就労ビザは、主に「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」「経営・管理」などが挙げられますが、技能実習と特定技能1号では、家族滞在ビザは認められていません。特定技能2号のみ、家族滞在ビザの発行が可能です。
しかし、例外として、留学生が特定技能1号を取得した場合、家族も日本に滞在することができます。元々、留学ビザでは家族滞在ビザの発行が可能です。留学生が特定技能1号として日本で就労する際、その家族は、家族滞在ビザから「特定活動」ビザに変更することで、継続して日本に滞在することができるのです。
「特定技能」と「技能実習」のメリットデメリットを比較
特定技能と技能実習は、目的から在留期間、就業可能業種など全く異なる制度です。それぞれにメリットデメリットがあり、企業の方針や状況によってどちらの制度が適切かも変化してきます。
それでは、特定技能・技能実習それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
「特定技能」のメリットデメリット
【メリット】
- 長期的な人材確保が可能
- 関わる機関が少ないため、事務作業が少ない
- 受け入れ人数に制限がない(介護・建設を除く)
【デメリット】
- 外国人本人の意思での転職が可能なため、早期退職の可能性がある
「技能実習」のメリットデメリット
【メリット】
- 定着した制度のため、現時点では人材確保が容易である
- 在留期間が決まっているため、今後の人員計画を立てやすい
- 技術を学びに来る技能実習生は、向上心があり素直である
【デメリット】
- 受け入れに関わる機関の多さから外部コストが比較的かかる
- 受け入れから修了まで、面談や事務作業が多い
- 技能実習制度廃止の方向で審議が進んでいる
まとめ
「外国人労働者」といっても、在留資格によっては就労制限や在留期間などが全く異なります。
特定技能と技能実習も全くの別物であり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
外国人採用を考えている方は、今後の企業の方針や現在の状況を踏まえ、最適な制度を選びましょう。
株式会社ケイエスケイでは、特定技能を持つ外国人労働者紹介事業を行っております。
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