2021.05.19 フィリピン人採用外国人採用ノウハウ特定技能
新しい在留資格「特定技能2号」で外国人を採用できる業種と取得条件
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近年、日本の労働生産人口の不足を補うために、外国人労働者向けの制度が整備されてきています。中でも注目を浴びているのが「特定技能2号」と呼ばれる労働ビザです。
本記事では、この特定技能2号について、対象の業種や取得条件など詳細情報をまとめていきます。
特定技能2号とは
特定技能2号とは、国が定めた特定の産業分野に関して熟練した技能を保持している外国人労働者に対して付与される在留資格になります。
特定技能1号の上に置かれる資格となるため、特定技能1号で必要となる技術要件よりもレベルの高い技術が求められます。
特定技能2号で対象となっている産業分野は、「建設」と「造船・舶用工業」の2分野です。特定技能1号の対象業種が14分野にまたがっているのに対して、特定技能2号の対象業種は絞られています。
特定技能2号は2021年度から試験が開始される予定です。
特定技能2号の在留期間
特定技能2号に関しては在留期間の上限は設けられていません。所定期間ごとの更新、取得条件を満たしていれば、日本に永住することも可能です。
更新のタイミングは6ヵ月か1年、もしくは3年ごとになっています。
これまで外国人労働者が日本で永住するためには、在留資格の「技術・人文知識・国際業務」「技能」「経営・管理」を取得することが必要でした。
これらの在留資格は専門知識や学位を有してしないと取得することが難しく、現在も外国人労働者が日本に永住するハードルを高める要因になっています。
今回、新しくできた特定技能2号は日本永住が可能になり、外国人労働者が日本に永住しやすくなると予想されます。
日本に永住することが前提である就労ビザであるため、家族も一緒に日本に来ることができます。
ただ、帯同できる家族の範囲は「配偶者・子供」のみになります。労働者の親や親戚は含まれないので注意してください。
特定技能2号の取得条件
特定技能2号の取得条件は「試験の合格」です。
現在、試験の詳細情報はまだ公開されていませんが、筆記試験・技能試験の両方が課せられると予想されます。
特定技能2号の取得では、日本語能力に関する試験は不要となっています。
これは、特定技能2号の取得者希望者がある程度日本での労働経験を有していることを前提にしている可能性が高いです。
特定技能1号の取得が特定技能2号の取得条件になっている訳ではありませんが、制度上特定技能2号は特定技能1号の上位互換の資格であるため、日本語能力を有している点は改めてチェックする必要がないと判断されたのかもしれません。
採用面では日本語能力が問われることも
実際に日本で就労する上でまったく日本語が扱えないと、コミュニケーション面で苦労してしまいます。特定技能2号を取得する上では日本語能力の確認は不要とされていますが、上述した様に「相当の日本語能力はすでに習得済み」と見なしている可能性も否定できません。
特に外国人労働者を採用する側から見れば、日本語をまったく話せないとなると採用しづらいのが実情です。
この点を留意して、特定技能2号取得者も日本語学習も進めておくことが円滑な就労に不可欠となります。
特定技能1号を経由して取得するのが現実的
求められる技術の高さを考慮すると、特定技能1号を取得してから特定技能2号の取得に移るのが現実的といえます。
技術レベル・日本語能力を高めてから特定技能2号を取得した方が業務面・生活面で安心です。
特定技能2号の対象業種は今のところ「建設」と「造船・舶用工業」のみです。他業種で経験を積んでしまうと、特定技能2号の技術要件を満たせない可能性が高くなります。
将来的に特定技能2号の取得を目指すのであれば、上記分野の業種で経験を積むことをおすすめします。
特定技能2号は受入れ機関・登録支援機関の支援対象外
特定技能2号は、受入れ機関・登録支援機関の支援対象外となっているので要注意です。
特定技能1号の場合、受入れ機関・登録支援機関が下記の支援をビザ取得者に対して行う必要があります。
- 外国人に対する入国前の生活ガイダンスの提供(外国人が理解可能な言語を使用する)
- 入国時の空港等への出迎え及び帰国時の空港等への見送り
- 外国人の保証人になること、また外国人の住宅の確保に向けた支援の実施
- 外国人に対する在留中の生活オリエンテーションの実施(預貯金口座の開設など)
- 生活のための日本語習得の支援
- 外国人からの相談・苦情への対応
- 外国人が履行しなければならない各種行政手続についての情報提供及び支援
- 外国人と日本人との交流の促進に係る支援
- 外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合において、特定技能雇用契約に基づいて「特定技能1号」の在留資格に基づき活動を行えるようにする支援
特定技能2号を取得した外国人労働者に対しては、上記の支援を行う必要がありません。したがって、雇用主側からすると各種支援の負担を軽減することができます。
もちろん、採用時に日本での生活や日本人とのコミュニケーションに問題がないかチェックすることは必要ですが、支援が義務化されていない分、採用側に裁量が委ねられている形です。
特定技能2号の取得要件に「日本語能力の証明」が含まれていない点からも、特定技能2号取得者は日本での生活・日本人とのコミュニケーションに問題がないと見なされる可能性が高いです。
この点にも留意して、特定技能2号取得者を採用する必要があります。
まとめ
特定技能2号は、熟練した技能を持っている外国人に対して付与される在留資格です。
特定技能2号は特定技能1号の上位互換の在留資格ということもあり、所定の条件を満たせば在留期間に上限はありません。
日本に永住するための資格として、今後注目を集める可能性も高いですね。
特定技能2号取得者には、生活ガイダンスなど各種支援を受入れ機関・登録支援機関が実施する必要はありません。
雇用主側の負担も軽減できる点も特定技能2号のメリットとなります。
特定技能2号は2021年から運用が開始される予定です。
最新情報は経済産業省・厚生労働省など各省庁から発表されますので、見落とさないよう要チェックです。
(参考URL)
https://www.meti.go.jp/press/2019/08/20190809002/20190809002-1.pdf
https://www.jitco.or.jp/ja/skill/